FC2ブログ

「八月のクリスマス」感想、ネタばれ部分


(ネタばれストーリー&感想)
こちらは感想のネタばれ部分です。
本文は→こちらをご覧ください。





この映画、見どころのひとつは窓や扉のガラスの使い方だと思うんですね。
それぞれに、象徴的な意味が込められていると思います。

まず、主人公2人の出会いは窓に映った姿として描かれます。
二人とも、同じ一枚のガラスの中におさまりながらも、それはどちらも、
実像ではなくぼんやりとした像として描かれています。
そして、主人公の男、ジョンオンのところを初恋の人が訪ねる場面でも
出てくるのですが、その場面では、ガラスを通して見えるジョンオンと、
反射した像として映っている女、という構図になります。
この時にはすでにジョンオンはタリムに出会っており、この後、
初恋の人への思いがもう、思い出へと変わっていたという意味の
ナレーションが入ります。

それと似た構図はラスト近くに出てきます。
ジョンオンが喫茶店で外にいるタリムをそっと見守るシーンなのですが、
最初、タリムの乗った車が止まり、彼女が出てくるあたりまでは
カメラは外、窓ガラスに映った姿で表現され、その後、カメラは
店内からの視点に切り替わり、窓の向こうのタリムの姿を
ジョンオンがいとおしそうに指でなぞります。
その後、ふたたびカメラは外にうつり、
タリムが乗り込んだ車が遠ざかってゆく像と、
それを見守るジョンオンの窓ガラスの向こう側の姿が
二重写しになります。
いちまいのガラスに同時に見えながら、遠く離れた2つの世界。
これはジョンオンの心象風景といってもいいんじゃないですかね。
ものすごく切ないです。
そしてその後、カメラは滑らかに写真屋の中から見えるガラスを映し出す。
そのガラスの向こうにあるのはすずかけ(かな?)の木。
ジョンオンの視線はその木の方へ向かっているのだが、
そこは出会った日のタリムがいた場所。
たぶん、居ないタリムを見ていたんでしょうね。

そのほかの場面でのガラスはというと、
二人がお互いを意識だしているころの場面で、
ガラス越しに口パクで会話ゐするシーンがあるんですね。
この時は、声はお互いに伝わっていないのだけれど、
コミュニケーションは成り立っている。
そして、ガラスを隔ててはいも、2人とも、
窓の向こうの実像として取られています。

そして、もうひとつ。
写真屋がずっと閉店のままで、ジョンオンと連絡が取れないままに
転勤しなければならなくなったタリムが夜、写真屋のガラスを
石を投げて割るシーンがあるんですね。
この場面では、窓ガラスに映っているのはぼんやりとした
タリム自身の像のみ。
そして、ガラスの割れた部分からのぞくタリムの顔へと
カメラは切り替わります。
計算されているんだろうなあ、という感じです。

あと、店の中に車のヘッドライトの光が入ってくるんですが、
これも心理の表現として使われているように思いました。

それから、病気について。
病気についても、ほとんど描写がないんですね。
終盤間際の入院のほかは、薬を飲むシーンと通院シーン。
その通院シーンも待合室のシーンと出てきたところぐらいで、
ドラマチックな表現はことごとく避けられているように思います。
ただ、その後のジョンオンの行動から、悪化しているんだろうと
いうことが分かるだけだし、
周りの人たちの思いも、言葉にされることはない。
同じく、恋愛に関する感情もほんとに些細な仕草で示されるだけ。
その分、感情移入できれば、ぐっときます。

そうそう、幽霊のおならの話のシーンも書いておかなければ。
これは話の途中でタリムが腕に抱きついてきて、
ジョンオンが一瞬言葉を失うという心理描写としても
重要なシーンなんですけど、
そもそも、この話をタリムにしたのは、
自分の死後を考えてのことなんだろうな、と思うんですよ。
自分のいなくなった後のことをさりげなく思いやっている
シーンとしても秀逸だと思います。

さて、最後のシーンについてです。
タリムは手紙を受け取ったのかどうか。
わたしはこの手紙は遺書として書かれ、
死後に遺族によって投函されたのだろう、と思います。
ひとつにはタリムの写真が死後、
ショーウインドウに飾られていたわけですが、
これは手紙と一緒に箱に仕舞いこまれていたもの。
この写真が飾られていたのはラストのシーンだけですから、
たぶん、家族がそうしたのだろうと思います。
開封されたタリムからの手紙と一緒に保管されていたわけですし。
家族としては、それをそのままにしておくとは思えません。

また、書かれた時期と書く時の描写が遺書のように感じられます。
そして、なによりもタリムの最後に見せた頬笑みが大人びているうえに、
何か、決意のようなものを感じさせるものでした。
そして、そのことを強調するかのように、写真の頬笑みが
その前に登場したのだと私は思いました。
その時の服装も赤いスカーフをしているものの、
コートもストッキングも黒。喪服を思わせますしね。



関連記事

この記事へのコメント

トラックバック

URL :

韓国ドラマアンケート
無料アクセス解析

アンケートは1回限りです。コメントは訂正できませんので、投票ボタン、ENTERキーは慎重にお押しください。

インフォーメーション
**コメントを承認制にさせていただきました。お手数をおかけしますがよろしく願いいたします。 **あらすじはほとんどオリジナル版によっていますので、各話の内容がテレビ放送のものとは、ずれている場合があります。   **拍手ありがとうございます。とても励みになります。
ブログ内検索フォーム
Comment
最新記事
カレンダー
07 | 2019/08 | 09
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
プロフィール

kirikorori

Author:kirikorori

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カテゴリー

あらすじは韓国版によるものがほとんどなので、テレビ用に話数を変えて編集しているものは、多少ずれていることがあります。ご了承ください。

この他にも、まとめてあらすじを書いているものもあります。上部にある、<感想記事一覧>のリンクから探してみてください。

Twitter

一部しか表示されていませんが、kirikoro1のところをクリックすると、全文読めます。

リンク
月別アーカイブ
10  12  02  12  11  10  07  06  03  02  01  11  10  09  08  07  06  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08 
Translation(自動翻訳) 縦型エキサイト版
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード